猫が吠える

我輩は猫である。名前はみずき。

最初の記憶

2歳半ぐらいの、節分の日のこと。
妹はまだ産まれていなかったから、私と両親の3人での生活だった。


豆まきをしていた。
うちにあったおたふくか何かのお面を父がかぶって、鬼役をしていた。私と母は、「鬼は外、福は内」って、豆を撒いていた。


私はそのお面がこわかった。
お面を自分がかぶれば自分は見なくて済むと思った。
だから、「私が鬼役をする」と言って、父と代わった。


廊下から、お面をかぶって、リビングに入った。
そしたら廊下の突き当たりに鏡があった。
お面を見なくて済むと思ったのに、見えてしまった。
こわかった。


だけど、ここで「こわい」なんて言ったらかっこ悪いと思った。
だからなにも言わず、鬼役を続けた。



これが最初の記憶。
もしかしたら他にも思い出せることがあるかもしれないけど、行動じゃなくて感情や思考を覚えているのはこれが最初。
2歳半からこんな思考できるなんて人間ってすごいなと思うと同時に、昔からかわいくない子だったんだなと思う。