猫が吠える

我輩は猫である。名前はみずき。

リモートワーク前提の会社でのコミュニケーションの現状を紹介する

はじめに

 この記事はBBSakuraNetworksアドベントカレンダーの1日目です。
adventar.org
 ついにインターネット上に勤め先を書いてしまった。
 8月に設立されてからここの会社で働いています。

BBSakura Networksとは

www.bbsakura.net
 今年8月に設立された会社です。
 ソフトバンクの子会社であるBBIXと、さくらインターネットの両社で作ったジョイントベンチャーです。

 親会社のサービスの開発や運用を受託しつつこれから自社サービスも作っていこうとしている、エンジニアリングの会社です。社員は両社からの出向のみでエンジニアが15人ぐらい、大学生のアルバイトエンジニアが1人。人事とか総務とかの人たちは親会社の仕事と兼務でBBSakuraの仕事もしてくれている。
 主にモバイルの世界のお仕事をしていて、受託の仕事のひとつとして、さくらインターネットが提供している「さくらのセキュアモバイルコネクト」の開発運用があります。
 詳しくは7日に社長が会社紹介記事を書いてくれる予定です。

BBSakuraの働き方

 親会社のひとつであるさくらインターネットは大阪に本社があり、東京に支社があり、石狩にデータセンターがあり、他にも拠点があり、さくらインターネットからBBSakuraに出向しているメンバーも大阪・東京・北海道に散らばって仕事しています。大学生のアルバイトは仙台の自宅や大学で仕事をしているようです。
 もうひとつの親会社であるBBIXは仙石山にオフィスがあるので、そこにみんな出社したり、ときどき在宅勤務したりしています。
 両社が合流してJVを作るということで、多拠点に散っているメンバーを転勤させるということはせず(それぞれに生活があるからね)、多拠点でのリモートワークを前提とした会社になりました。私は夫と一緒に北海道小樽市にある自宅からフルリモート勤務しています。
 働き方についても、詳しくは16日にCOOが書いてくれる予定です。

情報の扱いかた、コミュニケーションの取りかた

 会社ができたばかりで互いのことをあまり知らない状況、これから新しいサービスを作っていくという状況でメンバーが一箇所に集まっていないというのは、もちろんやりづらさはあります。でも多拠点でやることが前提の会社なので、オフラインでのコミュニケーションをできる限り減らして情報をオンラインに上げることでやりづらさを解消しようとしています。最近またリモートワークについていろんな意見や感想が書かれているのをよく目にしますが、多拠点リモートワーク前提のBBSakuraではどんなツールを使いどうコミュニケーションしているのか、紹介してみようと思います。

 使っているツールは、最近の技術系の会社はどこも使っているようなラインナップだと思いますが、ツールを紹介しつつ、そこでの情報の扱いかたについて書いてみます。BBSakuraには情シスという部署や担当はいないので、導入したいツールがある人が調査して同僚や上司に相談して導入してきました。使い方やルールも決めたい人が決めて、周知する、変更したい人がいればその人が働きかけて変更するという運用をしています。

  • G Suite Bussiness

 社員情報のマスターデータ。カレンダー、ビデオ会議(Hangout Meet)、ドライブなどをよく使っています。メールは他社とのやりとりのみ。社内のやりとりはメールではやりません。
 他のツールはGoogleログインにしているので、各ツールでアカウント管理する必要がなく助かります。グループを作って付与する権限を設定したり、ログインを許可するツールを管理したりしている。
 カレンダーは、各親会社の社内カレンダーと連携できていなくて不便。連携ツールを同僚が作ってくれる予定です。
 会議はHangout Meetでやっています。音声のみで進行することにとくに問題を感じていないので、顔は映していません。必要に応じて画面共有しながら話します。各拠点に良いマイクと良い回線があることは必須です。音声が聞き取りづらいと、オンライン会議は不可能です。

  • Slack Plus Plan

 まあ普通にプロジェクトについての議論とか、雑談とかをしています。Slackで議論し(フロー情報)、決まったことは後述のKibelaなどにまとめる(ストック情報)。
 ただしチャットツールでの議論は、オンラインテキストコミュニケーションに慣れていない人やオフラインでの仕事に慣れている人にとってはハードルが高いので、みんなにオンラインに出てきて発言してもらうためには仕組作りが必要だと思っています。例えば私がやっているプロジェクトでは、メンバー全員に、プロジェクト用チャンネルでのデイリースクラム風進捗報告をお願いしています。毎日、「今日やったこと、明日やること、困っていること」の他に、「メンバーに共有したいこと(あれば)、なにか一言(その人の状態をなんとなく知るためと、メンバー間での雑談を生むため)」を発言してもらっています。そうやって強制的にオンラインに出てきてもらうとか、あとは事あるごとに「オンラインでやりましょう」、「雑談しましょう」、「何書いてもいいですよ」、「マイナスのことを書いたからと言って誰も責めませんよ」ということを発信するようにしたりして、オンラインでの発言のハードルを下げようと試行錯誤しているところです。times(分報チャンネル)も(私が勝手に)推奨していて、みんなに作ってねって言ったり、勝手に人のtimesを作って当人を招待したりしています。オリジナルemojiはたくさん登録されていて、emojiで会話したりリアクションしたりが一般的になっていますが、これはどちらかというとオンラインコミュニケーションに慣れた人にとって取っ付きやすいやりかたなのかなと思っています。
 議論や雑談以外の使い方としては、リモートワーク前提の会社なのと、コアタイムなしのフレックスなのもあって誰がいつ仕事しているかわからないので、「#timecard」というチャンネルを作って出勤・退勤を報告するというのがあります。
 最近はいろんなツールがSlack連携できるので、他ツールからの通知もSlackで受け取ることが多いです。

 ストック情報を貯めておくためのツール。記事の共同編集のオン・オフが設定できるので記事の目的によって使い分けています。プロジェクトの情報まとめや定例ミーティングでの各自の情報を共有するのための記事は共同編集できるようにしてみんなで作ります。社内手続の方法が野良でまとめられたページも共同編集できるようにしているので、気付いた人が追記したり修正したりしています。共同編集オフの記事は、社外の勉強会で聞いてきた内容の共有とか、個人的に調べた技術のメモとかがあります。このアドベントカレンダーに参加したいけどインターネット上の人格と勤務先を紐付けたくない人は、Kibelaに書いて外部公開してもらおうかなとも考えています。
 私がやってる新規プロジェクトではプロジェクト情報まとめ記事を1ページ作って、プロジェクトの基本情報(プロジェクトのゴールやビジョン、スケジュール、参加メンバー、ルール)と関連情報(Google Driveのフォルダの場所や関連Slackチャンネル、他のツールのプロジェクトページ)へのリンクをまとめています。メンバー間での情報の非対称性をなるべく小さくすること、後から参加したメンバーがいた場合にキャッチアップしやすくすることを目的としてやっています。
 あと、plantumlが書けるので、システムのフローを図示できて便利です。

 GitHub Enterpriseは求める機能の割にちょっと高いなってことでTeam Planになったんだったと思います。
 kibelaは自由に編集できるメモ、こちらは変更に承認が必要な文書の管理という使い分けです。ソースコードはもちろん、社内の規程もGitHubで管理しようとしていて、近日中に管理部門向けにgit勉強会をする予定です。

  • Jira Standard Plan

 最初は親会社からの受注案件の問い合わせ管理に使おうと思って導入しました。親会社の担当者にアカウントを発行して、技術面での問い合わせの管理をしています。このとき、入力項目や画面の表示内容、チケットのステータス遷移、権限設定などをカスタマイズする必要があってだいぶ苦労しましたが、Jiraの課題の設定方法を完全マスターしました。その後、毎週やっている社内勉強会で設定方法をみんなに伝えたので、みんなJiraマスターになっているはず。
 問い合わせ管理以外にも、プロジェクトごとの課題管理に使ったり、バックログやスプリントの管理に使ったり。あとは個人プロジェクトを作ってタスク管理している人もいます(私もそうしています)。これらも、情報を誰でも見えるようにすることが、目的のひとつとしてあります。
 Jiraのスマホアプリが使いやすいのだけど、うっかり私用スマホに入れてしまったら退勤後でも休みの日でも通知が来て仕事したくなってしまうので私用スマホに入れるのはおすすめしません!

  • その他

 勤怠管理、立替精算、稟議システムはどちらかの親会社から輸入したものを使っています。
 勤怠管理システムは、前述の「#timecard」チャンネルでSlashコマンドを利用することで自動で入力するツールを同僚が作ってくれたので、出退勤の報告と打刻を別で行う必要がなくなり便利になりました。

最後に

 BBSakuraでのオンラインコミュニケーションのやり方はこんな感じです。
 リモートワークって、良いことはたくさんあるけどコミュニケーションコストはやっぱり高いので、うまくやっていくためには工夫が必要ですね。人数の少ない拠点にいる人が疎外感を感じなくて済むように、多人数の拠点にいる人は、情報をオンラインに上げることを、より気をつける必要があると思っています。
 それからたまにはオフラインで顔を合わせて話をするのも大事です。少し前にキックオフの会があり、みんな東京に集まって会社のビジョン、事業の見通しなどを共有しました(うちは夫婦同じ会社に勤めているので二人とも参加するためには子どもたちの居場所確保に労力をかけなければならず、これについても今後考えねばと思っています)。オフラインで話を聞くと、普段バラバラの拠点で働いているメンバーたちのあいだで共通の認識や目的意識が作られるので、今後も定期的にオフ会をしたいねと話しています。

 BBSakuraでもまだまだ改善すべきところはあるので、うちの会社はこうしてるよって話も聞きたいです。
 

 さて、この人数の会社でアドベントカレンダー無事に埋まるのでしょうか。見守っていただけると幸いです!