猫が吠える

我輩は猫である。名前はみずき。

ひよっこ野良スクラムマスターによる #RSGT2020 感想

はじめに

 2020/1/8, 9, 10と、Regional Scrum Gathering Tokyo 2020に参加してきました。
 3日間参加して疲れ果てたので帰りの飛行機はぐっすり寝ようと思っていたのに目を閉じたら聞いた話がぐるぐると脳内を駆け巡って飛行機も電車も寝られず、いったん吐き出しておかないと夜も眠れないと思ったので吐き出します。とりあえずはなんの資料もノートも見直さず、私が感じたこと・解釈したことを書くので、参加レポートを期待して読むとがっかりすると思います。

参加の経緯

 アジャイル札幌の紙粘土スクラムに参加したときにスクラム始めてみたけどうまくやれてないって話をしていたら、チケットあるけど行かないかと誘っていただいた。行きたい!って言って、家庭内稟議と社内稟議通して参加させてもらいました。プロジェクトの話、うまくやれてない感の話は
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あたりに書きました。あと、家庭についても課題を感じている。
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 私はソフトウェアエンジニアはそろそろ3年ぐらいやってるとはいえ積極的に仕事や技術に向き合い出したのなんてほんの最近っていうひよっこエンジニアだし、スクラム勉強しだしてからはまだ2か月で、見よう見まねでスクラムマスター的な役割を社内でやらせてもらってるひよっこよわよわ野良スクラムマスターです。界隈の強い人とか有名人とかぜんぜん知らないでいきなり参加しました。学んだことあまりにたくさんあるけど、とりあえず今晩の安眠のために現時点でとくに印象に残ってることを吐き出します。

スクラムマスターの振る舞い

 スクラムやってみてるけどあんまりうまくいってない気がする、スクラムマスターどうしたらいいんだ、って思って参加した。これからやっていけそうだなっていうヒントをたくさんたくさんもらえた。
 参加前、スクラムチームとしてよい仕事をしていくためにどうやってチームを変えたらいいんだろう、メンバーになにをしてもらったらいいんだろう、なにかしてもらうためには私はどうしたらいいんだろうって考えてた。そうじゃなくて、まず自分が変わることと、チームに考えてもらうことだとわかった。

自分から変わること

 自分がやりはじめたら周りもそれを見て変わるかもしれない。私が行動・実践していたら、周りもよりよいマインドを持ち、よりよい行動をとろうと思うようになるかもしれない。最終日のスポンサーセッションでも、こんなイベントに参加してこんなこと学んできたんだ!やろうよ!!って一人テンション高く行っても周りには伝わらない、自分が行動し実験していこうという話があった。

チームが考える

 2日目夜の飲み会でスクラム道関西の強いアジャイルコーチ、スクラムマスターの方たちにカウンセリングしてもらったのだけど(贅沢!)、スクラムマスターはチームを導いたり変えようとしたりする役割じゃない、チームに考えてもらう、そのためにチームをよーく観察し、チームに質問を投げ、チームのまわりの調整やコミュニケーションをし、チームが楽しく気持ちよく動けるようにする役割なんだと話してもらった。それと、チームに対し選択肢を示すこと。チームはその選択肢を実験してみて、振り返り、自分たちのチームに合ったやりかたを自分たちで見つける。

コーチズクリニックとコーチズカウンセリング

 1, 2日目、アジャイルコーチに1対1で相談できる、コーチズクリニックというのがあった。めっちゃありがたい。コーチのみなさんがアジャイルスクラム人生のなかで培ってきた知見を分けてもらえるなんてすごい。やっとむさんにご相談したら、具体的な選択肢をいくつも提示してもらえた。すぐにチームで実験してみたい。ただし、一人で舞い上がってやろうぜ!ってならないように。
 飲み会でアジャイルコーチ・スクラムマスターの方々に相談・質問した。コーチズカウンセリングは今私が勝手につけた名前。スクラムマスターの心構えを聞けた。人たらし力が大事だよという話があり、それはたしかにそうだなと思うと同時に私はもともとコミュニケーション得意じゃない上に北海道に来てから引きこもって在宅リモートワークしてるうちに人たらし力をすっかり失ってしまったと感じている。でもそう話したら、ちゃんと目見て会話ができるし、スクラムやってみて、2か月経ってなんかうまくいってないと感じて、チームをよくしようとしているんだからスクラムマスターの素質があるよ、向いてると思うよなんて言ってもらえて、とても嬉しかったしすこし自信を持てた。

英語、コミュニケーション

 今回、おもしろそうなのに英語だからって話聞くのを避けたり、日本語を話さない人とコミュニケーション取れなかったりして、あ、やっぱり英語必要なのか、と思った。これまで英語を勉強するモチベーションがなかったのだけど、英語わかるとすごくいいことあるんだなって思ったので、英語やりたい。ひどい英語で話せるのがアジアのコミュニティのいいところだって言ってたし。
 あとコミュニケーションそのものに対する苦手意識はまだまだあって(昔は人前で食事できなかったのでだいぶ克服したとは思う)、こちらから声を掛けに行けなかったり輪に入りに行けなかったりした。でもありがたいことに話し掛けてもらって会話をしたり、頑張って参加し頑張って発言したらいいことあるんだなって実感もできたから、コミュニケーション苦手だって言ってるのってすごくもったいないなと感じた。クロージングキーノートの「自分のリビルド」の話、すごく響くものがあったので、私も取り組んでいきたい。でも無理はしない。

優しさ

 エンジニア怖い厳しい人が多いと感じることも多いが、優しさを感じる発表が多くて嬉しかったし感動した。

2日目キーノートのSahotaさん

 組織を変えるとき、だれひとり置いていってはいけない。とくにマネージャ。アジャイルな組織にするならマネージャはクビにしろと言う人がいるが、マネージャにはそれまでの(ピラミッド型組織での)マネジメントとは違う新たな役割を提示しそちらに移行していく支援が必要だと。まずは変えたいと思っている自分が変わることにより、自分がその支援をできるようになる。変わりきれていなくても、専門性を高める旅の途中にあっても、変わり始めていれば支援することができる。マネージャ本人が変わりたくないというのならそれは辞めてもらうことになるかもしれないけど、それは目指すところが違うのだから仕方ない。

しーばさん(テックリードは未来の話をしよう)

 ワークショップに参加していて聞けなかったけどスライドやツイッターに流れてくる情報や、お話させてもらったしーばさんが優しかった。だれかができないのがダメだとかじゃなくて、現状をそのまま受け止めること、そこからどうしたらプラスに積み上げられるかを一緒に考えること。期待して、それに沿ってくれなかったり応えてくれなかったりしたことにイライラするのはエネルギーの無駄だから、期待じゃなくて受け入れること。これ、たまたま前日夜にホテルで見たプロフェッショナル仕事の流儀で同じこと言ってた。中高一貫校の数学の先生が、大人が生きてる社会と照らし合わせて子どもを見るんじゃなくてひとりひとりをそのまま見て受け入れるって話をしてた。
 2日目夜の飲み会でしーばさんとお話できて、主に家庭内のコミュニケーションの話をし、私は家族に対して期待をしすぎていることは自覚したがそれをやめることができてないというお悩み相談をした。しーばさんも30代前半はイライラしてたって聞けてちょっと安心した。いま31の私も10年後には優しくなれているといいなあ。しーばさんは優しくないよって言ってたけど、そして、ただ性格として”優しい”っていうのとは確かに違うのかもしれないけど、でも後進をこういう視線で見られる優しい大人になりたいなあって思った。

藤村さん(最高のScrumキメた後にスケールさせようとして混乱した(してる)話)

 成功した話、失敗した話もとてもおもしろかったけど、最後に「コミュニティに恥を晒して場の心理的安全性を高めることをしたい」という話をされていて、スクラムを学びはじめて間もなくてRSGTに今回初めて参加してこれからコミュニティで活動していけたらいいなと思ってる私にはとても嬉しかった。私はつい、こんなひよっこがこんな場にいていいのかなって思ってしまいがちなんだけど、そうやって参加していいよ感を作ってくれる先輩がいるから参加していいんだなって感じられた。

アジャイルは人、楽しく幸せに生きる

 会社や仕事でやってる開発ってしょせん飯食うための仕事かもしれないけど、それを楽しく気持ちよく幸せな時間にすることで楽しく気持ちよく幸せに生きていこうとしてる人たちばかりいてとても嬉しかった。私は仕事好きだしコード書くのもチームや組織のこと考えるのも楽しいんだけど、メンタルが健康な人間じゃないからずっと勉強し続けるエネルギーがなかったり疲れて嫌になっちゃったりすることもある。けどやっぱり楽しく持続可能にやっていきたいし、チームメンバーや会社のメンバーたちにもそうあってほしいと思う(今年の私のテーマは”持続可能”です)。みんなが幸せにやっていけるチームや組織を作りたい。よいチームって、技術力の高いチームとか計画通りに進められるチームとかもよいチームだと思うけど、目指したいのはみんなが幸せに働ける、幸せにそこにいられるチームなのかなって思った。スクラムってフレームワークだけど、やっていくのは人であり、人がそれぞれのなかにアジャイルなマインドを持ってやっていくものなんだ。アジャイルなマインドを持つように変わりたいと思う人たちを私は支援することができたらいいと思う。

コードを書くか組織を作るか

 私はソフトウェアエンジニアとしてあまりに知識も経験も足りてない。スクラムやる上でこうしようよとか、組織をこうしたらいいと思うよとか、言うけどいまいちみんなに響ききっていないように感じていてそれは私にソフトウェア書く力が足りなくて説得力がないってことなんじゃないかと思ってた。だから組織の勉強もしたいけどその前にまずはソフトウェアの基礎を勉強しようと最近思っているところだった。
 今回、コード書くのはやめてチームや組織を扱うほうに舵を切ったという人の話を何人かから聞いた。会社にコード書ける人はたくさんいるから自分はそうじゃないところに強みを持とうと思って舵を切った話と、コード書く力で社内の他メンバーには敵わないから挫折感とともに舵を切った話を聞いた。私もいつか舵を切るのかなあと思う。でもまだ今じゃないな、もうちょっとコード書けるようになりたいな、でも組織作りしたいな。持続可能なやりかたで頑張りたい。

コミュニティに参加するということ

 エンジニアとしてもスクラムの経験もひよっこでよわよわで、参加して大丈夫かなってすこし不安に思いながら参加だった。でも参加してみたらおもしろく刺激的な話をたくさん聞けてよかった。でもそれ以上に、誘ってくれたアジャイル札幌のみなさんが初参加で知り合いのいない(会社からも一人で参加だった)私を気遣ってツイッターで声かけてくれたり、イベントの楽しみかたを教えてくれたり(コーチズクリニックとか)、いろんな人に紹介してくれたり、飲み会に誘ってくれたりとしてくれたのがとても嬉しかった。
 そうやって連れていってもらった2日目の飲み会、2日間濃密なインプットをし続けてヘトヘトだったし人がたくさんいる場苦手だしみんなは知ってる人同士っぽいところに入っていけないし一次会で帰ろうかなと思ったけど、せっかくすごい人たちがいるところに北海道から来たんだから頑張ってギャザリングしてみようと思って二次会にもついていった。そしたらコーチズカウンセリング受けられたし、まさかそんな話できると思ってなかった、モバイルネットワークやモバイルコア作る話ができたし、すごくよかった。
 こないだEOF2019で登壇されていた方とたまたまワークショップで同じチームになり、困っていることを話したら、同じことを悩んでると言ってくれてネットワーキングパーティでお話できた。「すごい人」って思ってた人とこうやって一緒に話ができるんだ、って感動した。EOF2019の主催の一人でありEM.FMでいつもお話を聞いてるゆのんさんにもごあいさつできた。ゆのんさんを紹介してくれたのが大学の研究室でお世話になった先輩だった。いつ以来かわからないぐらい久しぶりの再会だった!
 これがコミュニティというやつか、と、みんながコミュニティに勇気付けられコミュニティに感謝し恩返ししたいと言うのはこういうことかと理解した。恩返しできるまでにはまだ時間がかかるかもしれないけど、スクラムフェス札幌にはプロポーザル出すぞと決めました。

場の安全

 これはすごく残念なことに、飲み会の場で、性別や国籍によるハラスメント的な発言があった。その場にいない個人に向けられた発言だった。ウッと思ったら、「それはアウトですよ」とすぐに言ってくれる人がいた。私は嫌だなと思っただけで、なにも言えなかったし、ただやりすごしてしまった。本当はそんな発言があるべきじゃないんだけど、そういうことが起きてしまったときに毅然と対応できる人間でありたいなと思った。気持の良い話じゃないからこの話は書こうか迷ったけど、書くことでそういう発言や行動を排除することにすこしでも資することができたらいいなと思って書くことにした。
 ちょうど前日に札幌メンバーと飲みながらスクラムフェス札幌ではCode of Conductを作ってほしいという話をしていたところだった。作ってほしいって言ったら、こういう場に来る人たちはちゃんと考えてるから必要ないんじゃないかって言われて、そうなのかなあ、だとしても安心して参加するために立ててほしいなあって話した。実際は必要なくなんかなかった。私は安全な場を作るための労力は惜しまないようにしよう。

最後に

 上記の発言以外は、本当に楽しいイベントでした。みんなが年明けのこのイベントにエネルギーを持って来る理由がわかった。カンファレンスじゃなくてギャザリングっていうのはこういうことなんだなっていうのもわかった。みんな仲間がいて嬉しいんだな。私も今回学んだことを土台に頑張っていこう。まずは社内向けにどうやってなにを伝えたらいいのか、よく考えます。