スクラムフェス札幌でスクラムやめた話をした - 私とスクラムの一年記 #scrumsapporo
この記事はスクラムフェス札幌アドベントカレンダーの23日目です。
adventar.org
スクラムフェス札幌に参加しました。初めての社外イベントでの登壇もしました。
www.scrumfestsapporo.org
登壇の経緯
1年ちょっと前、2019年10月ごろにスクラムというものに出会って、11月からスクラム開発を始めた。スクラムマスターというのを名乗ってみていた。でもスクラムマスターってなにしたらいいいのかよくわからなくて、アジャイル札幌の紙粘土スクラムとか、Regional Scrum Gathering Tokyo(RSGT) 2020とかに、救いを求めて参加した。RSGTのときに、今回のスクラムフェス札幌の実行委員長でありRSGTに誘ってくれた人物でもある根本さんに、スクラムフェス札幌にプロポーザル出してよって誘ってもらった。
当時スクラムに出会って2か月ぐらいだったのでそんな人前で話せることなんかないですよと思ったけど、プロポーザル出すというのはいまの私でもできるな、聞きたいと思ってくれる人がいたら(アクセプトされたら)しゃべろう、と考えて出すことにした。アクセプトされた。よーしフルリモートでスクラムチーム立ち上げてスクラムやってるよって話をするぞーと思っていたら、コロナ禍により開催延期。そして延期期間中に私はこのチームから抜けて、チームはスクラムをやめたし、その後チームが解散した。
9月、11月にオンラインで開催することにしたけど話せますかと連絡もらって、とりあえず話しますって返事して、この状況で話せることを考えたけどわからなくて、困って根本さんに相談しにいった。相談内容をまとめてたら「なにもわからない」「つらい」「話せることがない」になってしまった。スピーカー降りようかなと思いながら相談しに行ったら、成功の話ばかりじゃなくてうまくいかなかった話も欲しい、共感するひともいるだろう、失敗からこそ学べるんだからぜひ話してよ、4月時点よりおもしろい話になるよ、と言ってもらった。ビールと日本酒たくさん飲んで、はい!しゃべります!がんばります!って言って帰宅した。
うまくいかなかった経験として外で話してきてもいいだろうかとチームメンバーたちに相談したら、「ぜんぜんOK」「なにも隠すことない」って快諾してくれた。チームの歴史をふりかえりつつ、それぞれの時期にメンバーがどう思いながら開発していたのかなどインタビューした。メンバーたちには「いいかんじに発表できるように頑張ります!」とか言ってインタビューを終えたけど、そこからいったい何を伝えられるのか、よくわからないまましばらく悶々とした。開催直前になんとか資料にまとめて社内でリハーサルしてフィードバックもらった。社長とかも、なにも出しちゃだめとか言わず、いいね、頑張って、と送り出してくれた。でもなんか綺麗なストーリーにならなくてまた悶々として、発表当日にやっと言いたいことがわかった。私たちが実践してみたこと、実践してみてスクラムむずかしいって思ったことを、ひとつの経験として共有しよう、成功体験じゃない話をこういう場ですることで、だれかがじゃあ自分も試してみようかなと思うきっかけになれたり、だれかをちょっと勇気づけるようなことができたりしたら、私が人前で話をする意味があるんじゃないかな、と思った。
発表内容
今回のチーム、スクラム経験者もコーチもいない中、本やインターネットや社外コミュニティを頼りに手探りでスクラム開発をやってみた。チームとして開発を"じょうずに"やるために、いろいろ取り入れていった。取り入れて変化していったらスクラムじゃなくなった。スクラムじゃなくなってから開発は加速した。このチームにおいては「スクラムじゃない」状態になってから開発がちょっとじょうずになってきたので、スクラムのフレームワークにのっとるよりもだいじなことがなにかあったんだろうと思った。だいじなこととは、開発者一人一人が、信念と自信をもって手を動かせることだ。信念と自信をもって手を動かせるようになるために、自分で手を動かして経験して、経験から学習していきたい、という話をした。
良い手の動かしかた、手を動かせる環境の整えかた、失敗のコントロールのしかた、結果の計測のしかた、計測結果の活かしかたなどを明らかにして、じょうずに開発をやれる状態になるまでを再現性のある方法で表現できるようになるといいなと思うけど、それはまた今後。
登壇の感想
発表が終わってから、何人かに、良かった、響いた、って言ってもらった。なにかを解決するような提案とか再現性のあるやりかたの紹介とかがないのに響いたって言ってもらえたのは、この話が頭の中で考えたことじゃなくて自分で経験したことだからだったのかなと思う。
そして、話すのに勇気のいる話だったろうけどそういう話こそ聞きたい、失敗の経験を共有してくれて嬉しい、メンバーのみなさんにも良かったって伝えて、とも言ってもらった。社内で発表の動画見て、もらった感想も共有して、このチームのメンバーたちにも感想を聞いてみたら、こうして後からふりかえることでここまでやってきたんだなって自信になったとか、当時は苦しかったけどメンバー同士相談しながらなんとかやってきて、その過程について外からの感想をもらえて嬉しいとかってコメントをもらった。外で話してよかったなーと思った。うまくいかなかった話こそ聞きたいんだよっていって背中押してくれた根本さんには感謝しかない。ありがとうございます。
島田さんの招待講演でアジャイル札幌立ち上げの話を聞いて、ああこうして先輩たちが必死に作ってきてくれた道の上にいま乗ってるんだなって、スクラムフェス札幌という場を作ってくれるひとたちがいて話ができるんだなって、すごくありがたいなと思った。
その後
スクラムフェス札幌が終わってすこし経って、今のチーム内で、スクラムという名前では呼ばずに「イテレーション区切って小さく計画しみんなで仕事しこまめにふりかえる」ことを始めた。今回発表したチームでの反省やこの1年で得た知識によって、いまは前より「じょうずに」チームでの活動をやれてるんじゃないかなあと思う。手を動かして、経験して、計測して、学習して、再現性のあるものにしていきたい。ただなんかエモい話するだけで終わらないように、よりよいやり方を見つける旅をすすんでいきたい。
こういうことはよくあって、僕たちはよりよいやり方を見つける旅の途中なのだ。 https://t.co/CL0ZTwRhac
— Kenji Hiranabe (@hiranabe) 2020年11月7日